2月25日付「『アスクル紙製品に関する調達方針』の実施確認要望についての回答 」への返答

2014年3月15日

2月25日付「『アスクル紙製品に関する調達方針』の実施確認要望についての回答 」への返答

アスクル株式会社
代表取締役 兼 CEO
岩田彰一郎様

拝啓

貴下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。

2月25日付『「アスクル紙製品に関する調達方針」の実施確認要望についての回答』を送付いただき有難うございます。

「回答」によれば、「調達方針との乖離は無い」とのことですが、今回、このような内容の「回答」が示されたことに深く失望せざるを得ません。アスクルのコピー用紙の原料の供給地において、土地紛争などの「地域住民などの利害関係者等と重大な係争」という事実がある以上、「適切な管理がなされている」とは言えないことは明らかであり、「乖離は無い」どころか、「調達方針」から乖離があり、逸脱は明らかであるとJATANは考えています。

アスクルの「紙製品に関する調達方針」においては、紙製品の原料について下記のものを優先的に調達していくと書かれています。
■ 古紙や廃材などを有効利用して得られたリサイクルパルプ
■ 森林認証制度により適切に管理されていることが認証されたパルプ
■ 適切に管理された二次林または植林パルプ

御社の主張では、LEIという認証を取得しているため、2番目のカテゴリーである「森林認証制度により適切に管理されていることが認証されたパルプ」であることから、「調達方針との乖離はない」との判断をされているのかもしれません。しかしながら、森林認証制度は「適切に管理されていること」を認証するための手段であり、「適切に管理されていること」が確認できないような認証制度では、この2番目のカテゴリーに適合しているとは言えません。特に、アスクルの「用語の定義」では、「森林認証制度の種類については、適宜、確認を行い判断する」と明記されており、単に森林認証を取得していること自体が要件ではないことが示されています。一方で、3番目のカテゴリーの「用語の定義」において、「適切に管理された」二次林または植林パルプの具体的な定義が示されていますが、LEI認証については少なくとも、「地域住民などの利害関係者等と重大な係争がないこと」と、「天然林を近年になって人工林に転換した土地でないこと」という項目については、適合しているとは言えません。LEI認証がアスクルの「調達方針」に合致するには不十分な認証であることは、JATAN等のNGOがアスクルに対して繰り返し述べてきたことで、「アスクルの《安心して使えない》格安コピー用紙」でも述べています。

御社が、まずすべきことは、LEI認証地域での土地紛争という地域住民との「重大な係争」という事実に基づいて、これまで、そして現在も「適切に管理されていること」が確認できていない認証パルプを優先的に利用してきており、そのために「調達方針」が遵守できておらず、安心して使えないコピー用紙を販売してきた、という事実を謙虚に認めることです。その上で、調達方針からの乖離の是正策を作成し、実施する必要があると考えます。

「回答」の後段で御社は、LEI認証パルプに関して「適切な調査の後、必要な改善を行い、その結果を公表」すると述べています。ついては、確認並びに検証の「透明性」を確保するために以下の諸点を要請します。

● 今年の7月末日までに結果を御社のウェブサイトで公表すること。
● 適切な調査の内容を「適切な管理がされていること」の確認を行うこととし、その判断基準として、「地域住民などの利害関係者等と重大な係争がないこと」と「天然林を近年になって人工林に転換した土地でないこと」と定め、原料供給地での土地紛争という「重大な係争」の有無や土地転換の時期等を確認すること。
● 現場での確認をする場合は、JATANが推奨する環境保護・人権擁護団体のメンバーを加えた事実確認の調査グループと共に、現地住民の人々が自由に発言できる体制を確保して、これに当たること。
● 上記の条件が達成されない場合や調達方針との合致が確認できない場合は、APPからの購入を速やかに停止すること。

調達方針の不遵守という事実を謙虚に認め、アスクルの調達方針に合致するように実態の改善に向けて真摯に取り組まれることを求めます。

敬具

熱帯林行動ネットワーク(JATAN)
代表 原田 公
〒160-5097 新宿区新宿1-23-16 3F
TEL 03-5269-5097
Email info@jatan.org

14.03.15 アスクルCEO 公開書簡2(PDF版)

【参考】
アスクルCEO岩田氏から「要望書」への回答に対するJATANのコメント ―アスクルの「グリーンウォッシュ」は明らか―