2012年10月
JATANとHVECがタ・アンの木材需要による森林伐採を現場視察
豪州タスマニアでは、マレーシアの木材企業、タ・アン社、州政府の林業セクター、タスマニア林業公社そして日本の木材商社の三井住商建材の3者からなるタ・アン・タスマニア(Ta Ann Tasmania: TAT)という合弁事業体が、その木材原料調達のために保護価値の高い森林(HCVF)やオールドグロス林の伐採をつづけています。
タスマニアの森林保護をめぐっては現在も、業界側と保護団体側との和平協議が進められていますが最終的な合意にまでは至っていません。現地では政府レベルの伐採モラトリアムが宣言されたにもかかわらず、依然としてTATによる木材需要が貴重な森林の破壊を促すメインドライバーになっています。
JATANでは森林の伐採状況をグラウンドレベルで把握するために、2012年8月、キャンペーンのカウンターパートであるヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre: HVEC)のスポークスパーソン、ジェニー・ウェバー氏とともに州南部を中心に現地視察を行いました。
森林地帯を網の目のように張り巡らされた伐採道路を突き進んでいくと奥深い原生林の中から突然、空爆の爆心地のような伐採地が姿を現します。空撮による映像でしか把握ができないような伐採の最深部です。世界遺産地域はここから目と鼻の近さに見えます。焦土と化した跡地には、無垢の大型テーブルなら10以上も採取できそうな老齢樹の大木やマートル、ササフラスといったレインフォレストが黒焦げとなって無残な姿を晒しています。タ・アンの単板用の原料に不向きな木材は放置されたままになっているのです。上空には絶滅危惧種のウェジ・テイルド・イーグル(Wedge-tailed Eagle)のつがいが旋回しています。失われた営巣地を探しあぐねているように見えました。
JATANが今回、視察したのはウェルド渓谷(Weld Valley)、ピクトン渓谷(Picton Valley)、エスランス渓谷(Esperance)、そしてミランダ・ギブソンが300日を超える樹上キャンペーンをつづけるティアナ渓谷(Tyenna Valley)です。
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