昨日(1月31日)、オーストラリア連邦政府の環境大臣トニー・バーク(Tony Burke)はタスマニアの世界遺産に、延べ17万ヘクタールに相当する州南部の原生林地域を含めるよう世界遺産員会に推奨すると発表。熱帯林行動ネットワーク(JATAN)は連邦政府が、過去30年以上にわたって保護か伐採かの不幸な対立の舞台となってきたスティックス(Styx)、ウェルド(Weld)、ピクトン(Picton)、フロレンタイン(Florentine)といったオールドグロスの森林地帯に対して世界遺産に相当する価値を有することを公式に表明したことを歓迎する。
推奨地リストには、これまでにJATANをはじめ現地のヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre)やマーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)などの団体が伐採の即時停止を求めてきた保護価値の高い森林がすべて網羅されているわけではないが、タスマニアの森林保護に向けたあらたな第一歩として今回の発表を支持したい。
今回の世界遺産推奨地域の内部では依然として伐採が続いていることを懸念しているが、一日でも早く、保護の動きが加速し、抜本的な保護がなされることを希望する。ただし、州議会レベルではレジスレイティブ・カウンシル(上院)が昨年12月に保護法案を見送るなど、保護とは逆行する気配が先行している。また、先週には、「タスマニアの森林木材供給と保護に関する暫定的協定 」のNGO側の調印者であるタスマニア原生自然協会(The Wilderness Society)とオーストラリア環境保護基金(Australian Conservation Foundation)の代表が、タスマニアで木材加工事業を展開しているタ・アン(Ta Ann)社とともに、日本の顧客企業を訪問しタスマニア木材製品のプロモーション活動を行ったという。こうした動きも含めて、今回の連邦政府による拡大地指名については今後の推移を見守っていく必要がある。
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