※12月22日付の「オーストラリア放送協会」による記事の日本語訳です。
豪州首相による和解に向けた協定は、タスマニアの森林問題の数十年にわたる衝突を終わらせると思われていたが、抗議活動はいまもつづいている。
ロンドンの木材企業がタスマニアからの製品の購入をボイコットしようとしている。
先月、タスマニアの森林由来の木材がロンドン・オリンピックのための施設建設に使用されようとしていることが明らかになった。
この木材製品の購入企業は、活動家による働きかけを受けた結果、タ・アン(Ta Ann)社からの木材製品をもはや購入しないと述べた。
ボイコットはタ・アン、タスマニアの林産業界、州政府の激昂を招いている。
マーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)代表のティム・バーチ(Tim birch)は、ロンドンを訪問した活動家のひとりだ。
「わたしたちがいくつかの環境保護グループとタスマニアでおこなった調査で、タ・アンがこの極めて重要な森林から採取された木材の供給を受け続けていること明らかになりました。そのため、私たちは現地で何が起こっているのかを伝えようといくつかの会社を訪れにロンドンへ行ったのです」。
首相の和解協定がこうしたタスマニアの森林で伐採をやってはならないと示す一方で、エリアが実際に高い保護価値があるのかを判断するためいまもなお検証を受けている。
タスマニア林業公社(Forestry Tasmania)には協定のもとでタ・アンに供給するための伐採が許可されているという。
それにもかかわらず、オリンピック施設のためにタ・アンの木材を購入したインターナショナル・プライウッド(International Plywood)の最高経営責任者、イアン・アトウッド(Ian Attwood)はタ・アン製品をボイコットするという。
「わたしたちがタ・アンからの購入を停止した、つまり購入を保留にした理由は、タスマニアの森林伐採問題をめぐる論争によるものです」。
「わたしたちから再びタスマニアの木材製品を買ってもらえるよう市場の変革をもたらすためにできる限りのことをするとNGOは述べています」。
アトウッド氏はマーケット・フォー・チェンジとヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre)の二つの現地グループから聞かされたことを懸念していると述べた。
「わたしたちはタスマニアまで行って森林を破壊しようとは思いません。むしろ、英国の企業として責任ある調達で木材を購入しようと努めたいのです」。
林業公社、タ・アン、タスマニア州政府は強く反発している。
タ・アンの製品は国際的なPEFC森林認証によって持続可能な製品と認定されている。
タ・アンのデビッド・リドレイ(David Ridley)は海外に出張中だが、代わって統括マネージャーのグレッグ・ヒッキー(Greg Hickey)は、タ・アンのやっていることが間違って伝えられていると回答した。
「かれらがタ・アンの顧客企業を標的にするのが、環境に優れていることを証明する認証制度を主な理由としていることが気がかりです」。
「わたしたちの本当の懸念は、もし顧客企業がわたしたちの会社から購入しないとしたら、違法に伐採されたかもしれない産地のものを購入してしまうのではないかということなんです」。
林業公社のケン・ジェフリーズ(Ken Jeffreys)はタ・アンの顧客を標的にした環境保護グループを非難している。
「いまの状況は1930年代を思い起こさせます。あの時代は見かじめ料を払うのを拒んだりすれば次の日は店が焼き討ちにあったんですから」。
「いま、まさに同じことが起きているのです。活動家たちは会社に出向いて連中が望むことをしなければ会社の製品を市場から追放してやるといって脅すのです」。
記者はまた、州副知事のブリアン・グリーン(Bryan Green)がタ・アンからの木材の購入をやめないようインターナショナル・プライウッドに強く迫る内容の書簡を入手した。
アトウッド氏によれば、活動家たちの主張の方が説得力があるという。
森林問題の和解協定が成立したにもかかわらず、過去の戦闘が終結したとは到底いえない状況であることは確かだ。
以上
(翻訳協力: 高北 晶代)
オリジナルの英文記事はこちら↓
British firm blacklists Tasmanian timber