4月8日に世界同時に公表された『第6版世界チョコレート成績表』(英語版)について、JATANはプレスリリースを出しています。それについては様々なメディアで紹介されたのでご紹介します。
【掲載記事】
■Yahooニュース(4/9)
大学やNGOが評価する『世界チョコレート成績表』、伊藤忠が日本トップに
■オルタナ(4/9)
■朝日新聞SDGs ACTION!(4/25)
『世界チョコレート成績表』公表 日本企業は様々な課題で「取り組みが進んでいない」
■ビジネスと人権リソースセンター(4/8ー5/1)
グローバル:Be Slave Free、日本企業を含むチョコレート関連企業81社の調達方針と取り組みを評価した『世界チョコ成績表』を発表 (日本語)
また、チョコレートに関係する様々な団体がこの『世界チョコレート成績表』の公表に合わせて、報告書やコメントを発表しています。
【関連記事】
■PR TIMES (JICA)「開発途上国におけるサステイナブル・カカオ・プラットフォーム」)
世界チョコレート成績表の発表に合わせ日本のカカオ産業の児童労働撤廃に向けた取組みを発表
■PR TIMES (ACE)
「世界チョコレート成績表(2025)」日本企業の評価に対し、 児童労働撤廃に取り組むACEがコメント
【サステナブルカカオ100%の意味】
企業がウェブサイトに公表している「サステナブルなカカオ100%達成」とはどのような意味があるのでしょうか?
ある企業は、認証カカオ・サステナブルプログラムカカオを100%使っていますと公表しています。また、ある企業は、自社が支援を行う地域から購入したカカオをサステナブルなカカオとして100%を達成したと公表しています。
それでは、なぜ世界チョコレート成績表の評価(スコア)は低いままなのでしょうか?
認証カカオの仕組み
認証カカオの仕組みはそれぞれの認証カカオで異なります。生計維持所得*を支払ったり、児童労働・森林破壊のない持続可能な方法で生産されたと認証団体によって証明されたカカオが認証カカオです。
本来、認証カカオと非認証カカオが物理的に分離されて製品にされる(分離方式)べきものですが、それには企業側のコストがかかるし、多くの認証カカオを企業に買ってもらえる(認証カカオを生産する多くの農家が経済的・社会的利益をより享受できる)ように、多くの認証団体はそれらの混合を認めています(マスバランス方式)。この方式は、例えば、認証カカオと非認証カカオを半分ずつの原料でつくったチョコ1,000枚のうち、500枚を認証カカオ原料でつくったチョコとして販売できるというものです。
この方式は認証カカオを増やしていく方法として重要ですが、農家が生計維持所得を得られ、児童労働や森林破壊のない持続的な生産方法で育てられたと分かるように、チョコレート業界は自社の使用するカカオはどこでつくられたのか追跡できるように、日々取り組んでいるところです。
企業のサステナブル・プロジェクト・カカオ
大手のチョコレート原料メーカーや製造メーカーは、自社独自の持続可能なカカオ生産のためのプログラムを行って農家を支援し、サステナブル・プロジェクト・カカオと謳って商品を売り出しています。しかし、それぞれのプログラムは、児童労働に力を入れていたり、森林破壊に対処するために、苗木を配布してグロフォレストリーを推進したりと企業によってそれぞれ異なります。ただ、企業のホームページを見ても、その詳細について知ることはなかなかできません。
企業のプログラムは、その基準を公表し、実証された影響を示し、第三者による独立した監査・検証を受けることが必要です。ほとんどの企業プログラムはこのようなことを行っていないか、あるいは透明性を確保していません。また、成績表で確認できるように、ほとんどのサプライヤーはまだあまり良い評価を得ていません。
さらなる情報の公開とその検証が必要とされています。私たち消費者もサステナブルなカカオという言葉の内容と意味についてもう一度考えてみる必要があります。
* 生計維持所得(Living income)
衣食住だけでなく、教育、医療、社会的支援、貯蓄や生産への投資など、基本的な生活の選択肢を得るに十分な収入。