
森林を伐採し、
野生動物を殺し、
気候を加熱させる
タ・アン・タスマニア-種の絶滅と気候クライシスを
もたらす危険伐採に由来する木材
国際的な木材バイヤーのためのアップデート
■フルレポート(英語)はこちらをご覧ください。 ボブ・ブラウン財団(Bob Brown Foundation)のサイトに移動します。
提言
タスマニア産の原生林を利用した木材製品の購入を控えてください。 問題のある木材を購入してしまう恐れを 避けるため、タスマニア州産の植林木のみを提供するよう御社のサプライヤー企業に要請してください。
サマリー
本報告書は、タ・アン(Ta Ann)社製合板のサプライチェーンに関わる企業に対し、タスマニアでの最近の動向と、現在の伐採スケジュールの影響を受ける森林のフィールド調査に関する最新情報を提供するものである。最近の重要なニュースとして、タスマニアのタ・アン社との市場協定に署名していた環境NGOが、オーストラリアのメディアでこの協定を公に否定した。
タスマニアの原生林を原料とする製品を調達している企業は、何十年もの間、極めて重要な森林生態系の破壊に関与してきた。 森林は、絶滅危惧種・希少種野生動物の重要な生息地であり、暖房の効いた地球を冷やすのに不可欠な炭素貯蔵庫でもある。 タスマニアの原生林は減少の一途をたどっており、木材チップやタ・アン・タスマニア単板工場のピーラー(かつら剥き
機)に供されるため何十年にもわたって伐採された結果、環境は悪化の一途をたどっている。
タスマニア森林協定(Tasmanian Forest Agreement) と欠陥だらけの市場協定の締結から12年、タスマニアの伐採は大きな論争を招いてきた。 この間、オトメインコ(Swift Parrot)は生息地の伐採によって絶滅危惧種に指定された。希少種や絶滅危惧種にとって重要な生息地である天然林の広大な地域が伐採された。 自然林の伐採による気候への影響は地球の温暖化を悪化させており、過去12年間で、手つかずの森林が地球の気温上昇を緩和する上で決定的に重要な役割を果たしていることがより明らかになった。
天然林の破壊を続けることは、天然林が地球温暖化や野生生物の絶滅を防ぐために決定的に重要であるという国際的な科学的証拠を、故意に無視することに他ならない。タスマニアの天然林は、気候変動と生物多様性の両方の危機の影響を緩和する大きな可能性を秘めているが、すべての天然林の緊急保護と劣化した森林の回復を今すぐに始める必要がある。
当財団は、タ・アン・タスマニア(Ta Ann Tasmania: TAT)に木材が供給される伐採地で継続的なフィールド調査を行ってきた。本報告書では、これらの森林の環境価値について、老齢樹林や、希少種や絶滅危惧種の成熟した生息地に対する有害な影響など、私たちのフィールド結果を概説する。
タ・アン・タスマニアに提供される紛争原因木材
2024年7月16日、タ・アン・タスマニアのゼネラル・マネージャー、ロバート・ヨン(Robert Yong)氏は、タスマニア原生自然協会(Tasmanian Wilderness Society)のキャンペーン・マネージャーに対し、「タスマニア森林協定で合意された市場協定をもはや支持しないという原生保護協会の現在の立場を認める 」と書簡を送った。
タスマニア州は、いくつかの環境保護団体の支援を隠れ蓑に、天然林の伐採による木材供給を受けてきた。タスマニア森林協定(Tasmanian Forest Agreement)は、タスマニア自由党政府(Tasmanian Liberal Government)が森林協定を規定する法律を無効にしたため、タ・アン・タスマニアが受け取る木材を支持する十分な根拠とはならない。しかし、タ・アン・タスマニアは、原生自然協会(The Wilderness Society)、オーストラリア自然保護基金(Australian Conservation Foundation)、エンバイロメント・タスマニア(Environment Tasmania)の3つの環境保護団体との 「市場協定(market compact) 」に頼ってきた。12月2日(月)、全国日刊紙は、これら3団体がタ・アン・タスマニアの木材需給を支持しないことを報道した。
2024年6月3日、原生自然協会、オーストラリア自然保護基金、エンバイロメント・タスマニアは共同公式声明を発表していた ー「タ・アンのような木材会社が、オーストラリアの世界的に重要な森林、特にタカイナ/ターカイン(Takayna / Tarkine)のタスマニアの太古の森から木材を調達する正当性を主張するのは、もはや時代遅れである」と。
ボブ・ブラウン財団(Bob Brown Foundation)は、タスマニアを代表する環境保護団体であり、天然林の保護と天然林伐採の即時停止に力を注いでいる。 同財団は2012年以来、タスマニア林業公社(Forestry Tasmania)の伐採施業の問題点と、これらの伐採施業からタ・アン・タスマニアに供給される木材の問題点を指摘してきた。
2024年5月31日の公式声明で、タ・アン・タスマニアのヨン氏は、タスマニア州が合板を製造するためにかつら剥きに使用する丸太は、天然林と植林に由来すると述べた。 私たちは、同社が天然林から供給を受けている丸太が紛争(コンフリクト)を生み出す原因であり、野生動物の生存と気候緩和にとって重要なタスマニアの広大な森林の劣化に関与していることを証明できる。一方で、 タ・アン・タスマニアがどの植林地から原木を調達しているかを知らない。過去にいくつかの森林保護団体が、タ・アン・タスマニアが植林の原木を使用していないことを証明してきた。
最近、タスマニア北西部にある多くの問題をはらんでいる伐採地で、ボブ・ブラウン財団は39日間にわたるキャンペーンを行った。 このキャンペーン中に、タ・アン・タスマニアがこの伐採地から木材を調達しているという証拠を得た。これに対して タ・アン・タスマニアは同財団を公の場で告発し、財団の信用を失墜させようとした。 ボブ・ブラウン財団は、タ・アン・タスマニアに対して誤情報に基づくキャンペーンを行っていない。 タスマニアの新聞で報道されたように、当財団は伐採地域から出た複数の木材搬出先を特定している。 タ・アン・タスマニアはこの伐採地から木材を受け取り、木材はまた、木材チップとして別の顧客にも輸出された。
「ボルネオを拠点とする悪名高い伐採企業、タ・アン・タスマニアが、この破壊された野生動物の避難地タカイナから紛争由来の木材を受け取っており、伐採で得られた木材の60%は木材チップに加工されている事実をつかみました」とボブ・ブラウン財団のキャンペーン・マネージャーのジェニー・ウェバー(Jenny Weber)氏は語った。「この森林には、メンフクロウ(Masked
Owl)やオナガイヌワシ(Wedge-Tailed Eagle)をはじめ、多くの絶滅危惧種が生息しています。メンフクロウを絶滅に追いやろうとしているのは、直接的にはタ・アン社なのです」。タ・アン・タスマニアは、すでに無効のタスマニア森林協定をある種のお墨付きとして利用している。オーストラリア有数の森林保護組織である当財団は、タ・アンに木材を提供している供給源に問題
があることをクローズアップしている。
当財団は、タスマニアの天然林における伐採を広範にわたって監視しており、タスマニア林業公社による公開情報には、タ・アン・タスマニアのスミストン(Smithton)工場に供給している伐採地が記載されている。 私たちの調査は、その木材が紛争源からのものであり、非常に論争の多いものであることを証明した。 本報告書では、私たちの調査結果を説明するために、伐採地
の一部を抜粋した。
タ・アン・タスマニアはもはや、タスマニアの森林から調達する木材について、いかなる環境保護団体からも支持を受けていない 。
タスマニアの原生林から木材を調達する際、3つの環境保護団体からのお墨付きを同社が利用することは、もはや許されない。なぜなら、これらの団体は、すでに支持を公的に撤回しており、そもそも支持など許されるものではなかったからだ。
重要なオーストラリア全国紙の記事
2024年12月2日、オーストラリアの日刊紙はつぎのようなヘッドラインを冠した注目すべ記事を掲載した―「環境保護団体がすべての天然林伐採の中止を進めるためにタスマニア和平協定を破棄することですべてが白紙に戻った(All bets off as green groups dump Tasmanian peace deal to push for end to all native forest logging)」。
記事はさらに述べている―「2012年のタスマニア森林協定(Tasmania Forest Agreement)に署名したグリーン団体の原生自然協会、オーストラリア自然保護財団、エンバイロメント・タスマニアは、この協定はもはや無意味であり、すべての天然林伐採を中止することを求めていくと『ジ・オーストラリアン』紙に語った」。
原生自然協会のキャンペナーたちは、業界関係者にこの変更を伝え、自社の製品が環境ライセンスを持っていることを顧客に納得させるために、もはや森林協定を口実に使うことはできないと警告した。
「私たちは永続的な木材生産地ゾーンにおける伐採を支持しませんし、森林協定は10年以上も放置され、もはや意味をなさないと認識しています」と、原生自然協会のキャンペーン・マネージャー、アリス・ハーディンゲ(Alice Hardinge)は、「ジ・オーストラリアン」紙が入手したレターの中でタ・アンに語った。
「気候変動と生物多様性の二重の危機において、天然林の保護は不可欠です。私たちの組織は、他のENGO(環境非政府組織)と協力し、貴社の顧客に連絡を取り、記録を訂正するつもりです」。
エンバイロメント・タスマニアもまた、「不完全な 」タスマニア森林協定から、すべての天然林伐採の停止を求めるキャンペーンへの転換を表明した。
「天然林伐採の木材産業の未来はない」と同団体のエグゼクティヴ・オフィサー、ジェームズ・オーヴァリントン(James Overington) は語った。
タ・アン・タスマニアとの直接対話
原生自然協会のアリス・ハーディンゲ氏は、ロバート・ヨンとタ・アンの関係者にレターを送った。2024年7月、ハーディンゲ女史はタ・アン対し、同団体は「タスマニア林業公社による天然林の不適切な管理に反対しており、タスマニア天然林に由来するタ・アン・タスマニアの木材製品の使用を支持しないことを明確に表明する」と述べた。
(2024年6月3日)原生自然協会の声明「国際的に重要な森林の今なお続く破壊は許容できない」 The Wilderness Society: News – 03 June 2024 “Ongoing destruction of globally significant forests unacceptable”
ボブ・ブラウン財団はこの報道に対し、物議を醸しているボルネオ企業に対し、タスマニアから撤退するよう即座に呼びかけた。
ボ ブ・ブ ラ ウ ン 財 団 に よる メ ディア リリ ー ス( 2024年12月2日)
ボルネオの伐採企業はタスマニアから撤退しなければならない
ボブ・ブラウン財団は、かつてタスマニア森林協定を支持し、現在はオーストラリアでの天然林伐採の中止を求めている環境保護団体からの呼びかけを歓迎している。
「タスマニアに由来する天然林木材製品を購入する日本の顧客企業は、疑わしいタスマニア森林協定という偽りの保証のもと、長年にわたりこの物議を醸す製品を購入してきた。今日、その偽りの保証は公然と破棄され、これらの自然保護団体は、『ジ・オーストラリアン』紙に掲載されたように、天然林伐採の完全な中止を求める私たちの呼びかけに加わったのです」と、ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャーのジェニー・ウェーバーは語った。
「遅きに失したとはいえ、私たちが20年来争ってきたボルネオの伐採会社、タ・アン社とパトリアーク・アンド・サンズ社(Patriarch & Sons)は、今すぐタスマニアから撤退し、天然林の破壊を止めなければなりません。
「ボルネオの熱帯林と糊塗されたタスマニアの森林を売るという日本市場の信頼はかつて、いまや、天然林伐採の中止を求める私たちに公然と加わったいくつかの環境保護団体によって認められていました。野生動物を殺し、その生息地を破壊し、気候危機を助長するタスマニア産木材の販売に、もはや社会的許可はありません。
「疑わしい森林協定は、タスマニアの森林破壊から利益を得るライセンスをタ・アンとパトリアーク・アンド・サンズに与えた。こうした伐採が行われている間に、オトメインコは伐採によって絶滅の危機に瀕し、気候変動は危機的状況にまでエスカレートしました。タスマニアは天然林の伐採を終わらせるのに何十年も遅れており、この世界的にも貴重な森林を守るために今すぐ行動を起こす必要があります」とジェニー・ウェーバーは言う。
「私はタスマニアの荒廃した森林から、この森林破壊を買っている日本の企業の役員室を訪れ、野生動物の生息地と重要な炭素貯蔵庫が破壊されていることを伝えました。一部の環境保護団体が、これらの企業にタスマニアの木材を買い続けるように言ったことは、衝撃的な屈辱でした。今日は森林、絶滅危惧種、そして気候にとって素晴らしい日です。これらの環境保護団体が天然林伐採の停止を呼びかけるようになったことで、タスマニアの紛争源から持ち出された木材製品は、もはや偽りの安心を得ることはありません。
「この数年間、私は人里離れたサラワクの河を遡り、タ・アンに対抗して自分たちの森と生活を守るために戦っていた狩猟採集民のプナンの人々とも交流してきました。しかし、彼らもまたタスマニア自由党上院議員(当時)エリック・アベッツ(Eric Abetz)の訪問を受け、タ・アンが彼らの森を伐採することを許可するように告げられたのです。タスマニアからボルネオ、そして日本まで、世界的に重要な森林の破壊を支援する不名誉な行為は終わらせなければなりません」とジェニー・ウェーバーは語った。
特別ケーススタディ-タ・アン・タスマニアとメンフクロウが生息するタカイナの森FR002A – タカイナ
2024年6月、タスマニア州政府はアーサー・リバーの絶滅危惧種生息地を故意に伐採した。タスマニアのタカイナにある河畔林、アーサー・リバーとフランクランド・リバーの合流地点にあるこの残存林の生息地は、破壊的な伐採に見舞われ、絶滅の危機に瀕しているメンフクロウ、オナガイヌワシ、シロハラウミワシ(White-bellied Sea Eagles)、ルリミツユビカワセミ(Azure Kingfishers)、タスマニアン・デビル(Tasmanian Devils)、and オオフクロネコ(Spotted-tailed Quolls)の生息地を裸地に変え て し まっ た 。
2024年5月30日、伐採区画FR002Aの伐採請負業者は、伐採後にスミストンにあるタ・アン・タスマニアの工場に送られる丸太を、私たちの財団のメンバーたちに見せた。
希少種や絶滅危惧種の重要な生息地が伐採によって破壊されるなか、コミュニティ・メンバーは6週間にわたって毎日抗議した。 伐採が続く中、抗議活動は連日、続けられた。39日間にわたる抗議活動で、この伐採現場で平和的に抗議していた市民29人が逮捕された。20歳から70歳までの老若男女。 教師、農民、医師、看護師、学生、芸術家、中小企業の経営者、野生動物ケアラー、樹木医など、さまざまな職業の人々が抗議活動に参加した。 タスマニアだけでなく、オーストラリア全土から、この重要な森林を守るキャンペーンに参加するために海峡を越えてやってきた人々も大勢いた。
伐採の対象となる森林
オナガイヌワシとシロハラウミワシのつがいがいることがわかっているのテリトリー内で伐採が進められている。州の伐採局は、これらのワシの繁殖に対するリスクを認めたうえで森林施業計画を立てている。
ボブ・ブラウン財団は自由党のジェレミー・ロックリフ(Jeremy Rockliff)州首相、森林施業局、タスマニア林業公社に6通の手紙を送り、絶滅危惧種の生息地として極めて重要であることを理由に、これらの森林での伐採を中止するよう要請した。 私たちはこの伐採地内にメンフクロウが生息していることを示す証拠示す映像と音声を提出しました。それにはつがいの存在を示す鳴き声の録音データもふくまれる。
ボブ・ブラウン財団のキャンペーン・サイエンティストは、このアーサー・リバーの森で1ヶ月間に渡り、絶滅危惧種であるメンフクロウの鳴き声を111回録音した。
野生動物生態学者のデイヴィッド・ミルゲ(David Millege)は、アーサー・リバーとフランクランド・リバーの合流地点にあるこの伐採区画で、皆伐がメンフクロウに与える影響についてコメントした。デイヴィッドはオーストラリア東部でのフィールド経験が豊富で、過去35年間、4つの州で政府当局や民間のコンサルタントとして、森林や森林生態系を専門に、絶滅危惧種の脊椎動物を中心に研究してきた。
「提供された音声記録から、この伐採区画にはオトメインコのつがいが 1 組以上生息していることが明らかです。 短期間に記録された活動のレベルから、この伐採地がテリトリーの境界内にあり、繁殖活動が現在進行中である可能性が示唆されます。洞(ほら)を持つ樹木や枯木の分布密度が高いことが、この推察が正しいことを裏付けています。伐採区画や隣接する森林は、この絶滅危惧種の中心的生息地となっている可能性が高いのです。
「この伐採区画で現在行われている皆伐作業は、営巣地や就塒場、採餌場が失われる可能性があり、繁殖活動に直接的かつ深刻な悪影響を及ぼす可能性が高いのです。また、巣やねぐらの喪失は、長期的には老齢樹(オールドグロス)林のない、若く均整のとれた樹齢の森林に転換することを目的とした、現在適用されている育林体制の下では、不可逆的なものとなるでしょう」とデイヴッド・ミルゲは語っている。
絶滅危惧種の生息地であるタカイナの野蛮な伐採に平和的に抵抗するため、6週間にわたって150人が集まった。この種の森林保護キャンペーンとしては、タスマニアで過去10年以上にわたって最大規模のものだった。絶滅の危機に瀕しているメンフクロウが鳴き声を上げる夜間も含め、伐採が進められていたものの、私たちの最前線でのキャンペーンにより、いくつかの森林が残された。この森で空洞のある木が伐採されるたびに、生息しているメンフクロウの命が危険にさらされるのだ。恥ずべきことに、森林施業局は生態学者を派遣したことを認めたが、それはボブ・ブラウン財団が、伐採が続けられている間、メンフクロウが森林に生息しているという説得力のある証拠を提出した後であった。伐採が始まって数週間後、森林施業局は絶滅危惧種のために営巣の可能性のある樹木を保存するよう勧告を出した。 これは腐敗した業界の管理実態を物語っている。古代から続く森林生態系がタスマニア林業公社の悲惨ともいえる基準によって故意に、そして誤って根絶やしにされたのだから。伐採が完了する前に残された森を評価するよう強制されたことで、誤って破壊された森林の保全を望む人々を逮捕する一方で、彼らが自分たちの環境基準を無視したことが隠れようもなく明らかになった。森林施業法の絶滅危惧種保護規定は失敗した。メンフクロウの生息地は、財団が当局に行動を促している間に破壊された。 オナガイヌワシの繁殖期の禁止期間は、禁止期間外でも同じテリトリーの皆伐が許されるのであれば、茶番に過ぎない。
FR002Aのケースは、タスマニアでタ・アン・タスマニアに提供される木材のために破壊されている多くの森林のひとつにすぎない。
特別ケーススタディ– ―スティックス巨木の渓谷 – TN62G
タスマニア州は巨木が伐採された論争の多い森林に由来する木材を受け入れていた。環境保護運動のリーダー、ボブ・ブラウンが逮捕され、タスマニア先住民の長老(エルダー)が逮捕され、森林保護に尽力した市民が投獄された。
2024年初頭、非常に多くの問題をはらむ伐採エリアからタ・アン・タスマニアに原木が供給された。森を守ろうとした著名人が逮捕されるなど、多くの抗議活動が行われた。 すべてのエリアが伐採される前に、伐採は中止された。しかし、広大な天然林が破壊され、地域住民は2月から4月の3ヶ月間、何度も抗議活動を行った。これらのスティクスの森には、樹齢数百年の高木ユーカリの森があり、洞のある木が伐採されていた。老齢樹は多くの動物や鳥を育む重要な森だ。こうした太古の森は伐採の危機にさらされており、野生動物の生息地として、また炭素貯蔵庫としての価値から、早急に保護されるべきである。何の説明もなく、伐採者たちは破壊を終える前にこの伐採区画から立ち去った。今日、これらの古い森はまだ残されており、確実な保護が必要なのだ。
オーストラリアの元上院議員でオーストラリア緑の党のリーダーだったボブ・ブラウンは、世界遺産のタスマニア原生地域(Tasmanian Wilderness World Heritage Area)に隣接する40ヘクタールの太古の森の破壊を一時的に止めたことで、この森で逮捕された。
タスマニアン・アボリジニ長老ジム・エヴェレット(Jim Everett)は、2024年3月19日、このスティクス渓谷の森で抗議活動中に不法侵入の罪で起訴された。エヴェレット氏は言う―「これらの森林は、タスマニア先住民のパカナ人の知識哲学では 『関係生態系』と呼ばれる生態系基盤(eco-infrastructure)の主要部分です。 すべての自然がそうであるように、それはバランスを保つためにつながったネットワークなのです。ルトルウィタ(Lutruwita)/タスマニアに残された原生林の継続的な破壊を止めなければならない。これらの森林は、私たちの孫たちが呼吸できるきれいな空気の供給者であり、この地球上の生命の健全な未来でもあります。関係する生態系への影響は、スティクス渓谷の原生林ネットワーク全体に大きな不均衡をもたらすだけでなく、パラワ/パカナの人々にも大きな不安を与えています。私たちはカントリーであり、カントリーは私たちです。ルトルウィタ/タスマニアの先住民は、私たちがいかにすべての一部であるかを理解し、これらの太古の森を守る責任と役割を持って い ま す 」。
「ジムは、ファースト・ネイションズばかりか、タスマニア、そしてオーストラリアのコミュニティーからも高い尊敬を受けています。ジムは、先住民との協定も条約もない「植民地 」法廷を認めない。彼は、タスマニア中央部のスティクス・リバー上流にある壮大な巨木の渓谷の森を守ろうとして逮捕されました。これらの森林は世界遺産と同等の価値を持っています(登録はされていません)が、中国や台湾に木材チップを供給するために皆伐されようとしていました。彼は慣習法を守っていたのです」とボブ・ブラウンは語った。
アリ・アリシャー(Ali Alishah)もまた、この森で逮捕された。アリシャーは、このスティクス渓谷の巨木の森を伐採から守ろうとして起訴され、3ヵ月間刑務所に収監された。アリシャーは、タスマニア州政府の物議を醸している新抗議法のもとで収監された最初の人物であり、過去10年間でタスマニアの刑務所に服役した2人目の森林保護活動家である。
国際的なスポットライトーレオナルド・ディカプリオがタスマニアの森林保護を訴え
「私たちの惑星に残された最後の「巨人」が危機に瀕しています。タスマニアの天然林は、高さ85メートル以上の巨木が繁茂している、地球上で唯一の場所のひとつです。これらの巨木は何十年もの間伐採され続け、その結果、絶滅危惧種のオトメインコを含む多くの森林種が絶滅の危機に瀕しています。過去20年間、タスマニアの伐採産業は、利益を維持するために税金による補助金に大きく依存してきました。オーストラリア国民の75%が原生林伐採の全面的な中止を求めているにもかかわらず、タスマニア州政府は2011年以来で初めて、伐採可能な天然林の量を増やすと発表しました。オーストラリア本土とタスマニアは、生息地の破壊もあって、野生動物の絶滅率が世界最悪レベルにあります。私が立ち上げた環境保護団体「リ:ワイルド(ReWild)」とそのパートナーは、オーストラリア本土とタスマニアの天然林伐採を中止することで、オーストラリア政府が絶滅ゼロの公約を守るよう働きかけ続けています」

APPENDIX:
FR002Aタ・アン・タスマニアに原木を供給するために伐採された森林区画に対する
タスマニア州首相、タスマニア林業公社、森林施業局(Forest Practices Authority: FPA)、州天然資源環境省(Tasmanian State Department of Natural Resources and Environment: NRE)への陳情
■
2024年5月21日
FR002A – 2つの大河川の合流点における伐採について
ロックリフ州首相さま
タスマニア林業公社 スティーブ・ホワイトリーさま
州天然資源環境省 ヘレン・クロフォード さま
森林施業局アン・シューターさま
このレターは、伐採区画 FR002A に関する私たちの前回のレターの続報です。2024 年 5 月 13 日および21日付の最初のレターに対する回答は受け取っていません。請求した文書も、質問に対する回答も私たちは受け取っていません。
最初のレターで述べたように、伐採区画 FR002A はアーサー・リバーとフランクランド・リバーの河畔沿いにあり、成熟した冷温帯雨林の下層が一部残る、湿潤なユーカリの老齢林を特徴とします。伐採予定地内またはその周辺には絶滅危惧種の生息記録があります。
その後、2024年5月7日に、区画境界から約150mの地点で、絶滅危惧種であるルリミツユビカワセミ(Azure Kingfishers、学名Ceyx azureus)の目撃情報を州天然資源環境省に報告しました。今回の目撃は、同地域における過去の目撃記録と一致しており、ルリミツユビカワセミにとってこの地域が重要であることをさらに強調しています。
河畔沿いの伐採がもたらす結果は、オーストラリアでも海外でもよく知られているところです。その悪影響は伐採区画を越え、流域全体に及びます。これらの影響は、陸上生態系と淡水生態系の両方にとって重大であり、下流の河川に依存するすべてのものに影響を与えます。こうした影響には、絶滅の危機に瀕しているルリミツユビカワセミも含まれますがたんにこれに限定されるものではありません。
提案されているFR002Aの伐採は、伐採企業にもたらされる短期的経済的利益はごくわずかでありますが、伐採が許可された場合、絶滅の危機に瀕している野生動物、重要な河川景観に長期的な悪影響がもたらされることを考えれば、その影響は比べようもなく甚大であります。
私たちは、この情報の重要性を正しく認識し、この伐採区画をスケジュールから外し、永久的な保護下に置くという早急な行動を強く求めるものであります。
敬具
ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャー
ジェニー・ウェーバー
■■
2024年5月28日
FR002A – 活発期にあることが確認されたメンフクロウの生息地の伐採について
ロックリフ州首相さま
タスマニア林業公社 スティーブ・ホワイトリー氏
州天然資源環境省 ヘレン・クロフォード さま
森林施業局アン・シューターさま
このレターは、伐採区画FR002Aに関する私たちの前回のレターに続くものです。私たちは、2024 年 5 月 13 日と 21 日付けの最初のレターに対する返答を受け取っておらず、また請求した 文書や質問に対する回答も受け取っていません。
私たちの懸念と警告にもかかわらず、FR002Aでは伐採が開始され、アーサー・リバーの河畔に沿った重要な生息地が失われました。下記画像を参照されたい。
2024年5月25日(土)、区画境界から数メートル離れた川岸でシロハラウミワシ(White-bellied Sea Eagles)が目撃されました。座標 東経313055、北緯5450915。下記画像を参照。
パッシブ音響レコーダーが2024年5月20日(月)から5月25日(土)まで伐採区画境界内に設置されました。タスマニアン・メンフクロウオオコノハズク(Tasmanian masked owl、学名Tyto novaehollandiae castanops)は調査期間中一貫して検出され、日没直後に鳴き声が記録されたことから、この伐採地がそのコア・テリトリーの一部であることが示されました。これらの記録は自然価値アトラス(Natural Values Atlas)に提出しました。いくつかの鳴き声は非常に大きく、メンフクロウがレコーダーから100メートル以内にいたことを示唆しています。伐採はメンフクロウが積極的に利用する生息地を奪っています。
私たちはこの情報の重要性を早急に認識し、この伐採区画から重機を撤去し、恒久的な保護下に置くことを含め、早急に行動を起こさなければならないと考えています。
敬具
ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャー
ジェニー・ウェーバー
同キャンペーナー
エリック・ヘ イワード
■■■
2024年6月24日
FR002A – タスマニアン・メンフクロウ生息地の現在の伐採状況について
ロックリフ州首相さま
タスマニア林業公社 スティーブ・ホワイトリー氏
州天然資源環境省 ヘレン・クロフォード さま
森林施業局アン・シューターさま
このレターは、伐採区画FR002A に関する私たちの前回のレターに続くものです。2024 年 5 月 13 日、21 日、28 日付けの私たちの以前のレターに対しては回答がなく、請求した文書や質問への回答もありませんでした。
私たちのレターにもかかわらず、タスマニア林業公社は絶滅危惧種の生息地と確認された場所の伐採を続けています。下記画像を参照されたい。伐採は進行中であり、区画は今後数週間で皆伐される予定です。
先週、自然価値アトラスは伐採境界内に生息するタスマニアン・メンフクロウ(学名Tyto novaehollandiae castanops)の 52件の記録を受理しました。にもかかわらず、メンフクロウの生息が確認されている区画 FR002A では、伐採によるメンフクロウの生息地の除去が続いています。
本日、私たちはタスマニアン・メンフクロウが FR002A 内に生息していること、そして FR002A がそのコア・テリトリー の一部である可能性が非常に高いことを確認する科学データを提出します。ボブ・ブラウン財団は多大な労力と資源を費やして、FR002A におけるタスマニアン・メンフクロウの存在を確認するための科学的調査に取り組んできました。私たちは 2024 年 3 月にこの絶滅危惧種の存在を報告し、さらに 2024 年 5 月 26 日に 40件、5 月 31 日に 12 件の記録を 自然価値アトラス に提出しました。査読を受けた科学出版物やその分野の専門家による現在の知見は、私たちの発見が種の保全にとって重要であることを明確に示しています。しかし、この絶滅危惧種の生息地に対する措置や配慮、保護の可能性を示唆するレターは受け取っていません。
2024年5月25日から31日にかけて、2台のパッシブ音響レコーダーが伐採境界内に設置されました。レコーダー1は5月25日から28日にかけて、レコーダー2は5月25日から31日にかけて音響を検知しました。音響記録を分析した結果、両方の設置場所でメンフクロウが検出されました。レコーダー1は四日間で16回の鳴き声を、レコーダー2は七日間で27回の鳴き声を検出しました。日没間際と日の出間際に多く検出されたことから(添付グラフ参照)、タスマニアン・メンフクロウの営巣地やねぐらがある可能性が非常に高い。レコーダー 1 の記録を予備的に調べたところ、2024 年 5 月 25 日に少なくとも 18 件のメンフクロウの鳴き声が確認されました。このような鳴き声は一般的にメンフクロウのつがいのコア・テリトリーに関連していると考えられています。
さらに、FR002A には洞のある樹木や枯木が高密度にあり、タスマニアン・メンフクロウとその獲物にとって潜在的な営巣地やねぐらを提供しています。下記画像を参照のこと。
生息地の損失はタスマニアン・メンフクロウにとって最大の脅威です。この種にとって FR002A 内の森林が重要であることを示す科学的証拠がある以上、FR002A の伐採を継続することは明らかにタスマニア政府の絶滅危惧種勧告の意図に沿いません。
「タスマニアン・メンフクロウにとっての主要な脅威は、営巣/ねぐらおよび採餌生息地(特に樹洞)の伐採、二次中毒、限られた営巣に適した樹洞をめぐる他の鳥類や哺乳類種との競争である」
この新しい情報の重要性を認識していただきたい。上記の情報提供に鑑み、私たちは以下の早急なる行動を要望します。
- 伐採区画FR002Aでのさらなる伐採活動の中止すること
- FR002Aを法律のもとで永久に保護すること
タイカイナのために
ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャー
ジェニー・ウェーバー
同キャンペーナー
エリック・ヘ イワード
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