APP・APRILとは
インドネシアで操業するアジア・パルプ・アンド・ペーパー(APP)社とアジア・パシフィック・リソーシズ・インターナショナル・リミテッド(APRIL)はいずれも過去30年以上にわたって熱帯林を破壊し続けてきました。大規模な森林伐採、泥炭地の排水、深刻な森林火災ばかりか、地域住民や先住民コミュニティからの土地を奪う土地紛争もまた、両者が依然として、解決を先送りしている重大な問題です。EUをふくむグローバル市場への展開を目指す両社にとってFSC認証は喉から手が出るほど手に入れたいグリーン証明です。APPもAPRILもずっとFSCと絶縁状態がつづいてきましたが、APRILは昨年11月に、APPは今年5月にFSCとの間で関係修復プロセスを開始するための覚書に署名しました。これを対外的にアピールする両社のプレスリリースには過去の負の遺産への言及は皆無、プロセス開始を以ってこれまでの悪行の数々を一挙に清算しようかという意図が垣間見えます。
インドネシア産紙製品の最大マーケット、日本
インドネシア産紙製品の海外で最大の市場といわれる日本では、大掛かりなグリーンウォッシングが奏功してか、ドラッグストアーの店頭や通販サイトで両社のコピー用紙やティッシュペーパーを頻繁に見かけるようになりました。パルプ材の植林地をつくるために環境破壊と人権侵害の罪過をおかしてきた両社の来歴があるにもかかわらず、ただ、ネットや店頭で「植林材100%」という宣伝文句を見て環境優良企業などと誤解してしまう日本の消費者は決して少なくないと思います。JATANでは負の遺産を糊塗しよういう両社の振る舞いに深い懸念を抱いています。そこで、久しぶりに両社の紙製品の市場実態を知るために店頭調査をはじめたところです。会員のみなさまにもぜひご協力いただきたいと思います。
APP・APRILのブランド製品
調査にあたっての傾向と対策を少しお話しします。セブン-イレブンやイトーヨーカドーを持つセブン&アイ・ホールディングスでは紙製品についても具体的な調達基準を掲げ、「森林破壊、泥炭地開発や先住民への人権侵害」を排除する原料確保を謳っています。イオングループもその調達方針で、「森林破壊の防止に努めます」と述べています。こうした大手の系列下にある店舗ではJATANがこれまで確認したところ、インドネシア産の紙製品は見つかっていません。一方、ホームセンター業界ではどうでしょうか。業界トップのカインズの数店舗を調べました。国産の自社ブランドコピー用紙とならんでAPP社製を見かけます。DCM、ケーヨーデイツー(今年4月にDCMが吸収合併)、コーナンではAPPをたくさん販売しています。APPのブランドに「エクセルプロ」「ワイドプロ」「TRUTONE」などがあります。ブランド名がなくても「高品質マルチ用紙」「白さ鮮やかコピー用紙」「印刷が映えるコピー用紙」「プレミアムホワイト」などの謳い文句があればほぼAPP社製と思っていいでしょう。家電量販店もコピー用紙を扱っています。ヨドバシカメラなどはAPRILのトップブランド品「ペーパーワン」の特設コーナーを演出しています。マツモトキヨシやクリエイトといったドラッグストアーでハロー(Hello)の「ソフトパックティシュ」が売られています。これはAPPが衛生用紙を販売するためにつくったユニバーサル・ペーパーの主要ブランドです。APP社製のティッシュやトイレットペーパーはほかにももっとあると思います。
紙製品の店頭調査
最近ではおむつやトイレットペーパーといったコモディティ商品も通販サイトを使って購入する人が増えていますが、ドラッグストアーやホームセンターにお出かけの際はコピー用紙、衛生用紙の売り場に足を運んでいただき、調査した日付、店名、支店名、製品名、サイズ、値段(税込)といった情報をJATANの窓口メール(info<@>jatan.org)にまでお寄せください。メールの件名は「インドネシア産紙製品店頭調査」としてください。なお、もしできれば9桁のJANコードや撮影画像もお願いいたします。ただし、「店内撮影お断り」の貼り紙がされているような場合は無理されませんようにお願いいたします。JATANでは小売店のほぼ全貌をつかみたいと思っています。近々、こうした会社をターゲットにコピー用紙、衛生用紙の原料調達方針、製品の調達実態を訊ねる網羅的なアンケートを実施する予定です。ご協力、よろしくお願いします。