プナン平和公園の伐採と日本の関係

国際環境NGO FoE Japan 三柴淳一

本稿では、JATAN NEWS No. 125(2025年10月)「ウルバラム 分断される平和の森」で触れている「プナン平和公園(Penan Peace Park)」の伐採について、日本からの視点、つまり、サラワク産合板やそのサプライチェーンに関して、お話しする。

日本市場において、マレーシア・サラワク州は合板(ごうはん)を供給する重要な生産地の一つである。林野庁の2024年木材輸入実績によると、2024年の合板輸入量は149万m3でインドネシアが39%、マレーシアが39%、ベトナム13%、中国8%となっており、長年に渡りインドネシアとマレーシアの2カ国が業界的に言うところの「ラワン合板」の供給地となっている。

次にマレーシアからの輸入合板の内訳を見てみる(表1)。表から塗装型枠用が48.1%、厚さ6~12mmが42.2%とが主要製品であることがわかる。塗装型枠とは、建築・建設現場でコンクリート型枠用合板として(写真1)、また厚さ6~12mmの合板は主に内装用のフローリングの台板として使用されている。

(写真1)建築現場におけるサラワク産塗装型枠用合板(シンヤン社製品)の使用例(出所)筆者撮影(2025年1月17日)

サラワク州の非持続可能な森林管理に関しては、多くのNGOが批判をしているところだが、その最たる例を挙げる。

図1に1970~2021年のマレーシアの地域別丸太生産量の推移を示した。半島部やサバ州と比較すると、サラワク州の丸太生産量は極めて高かったことがわかる。図には赤線を加えているが、これは1991年、サラワク州は国際熱帯木材機関(ITTO)から持続可能な森林管理を目指すべく、丸太生産量を抑制し、上限を920万m3にすることを勧告されたことを示したものである。図からサラワク州の丸太生産量が920万m3を下回ったのは2013年以降であり、勧告から20年間、サラワク州は非持続的な丸太生産量を維持してきたことがわかる。それ以降、同州の丸太生産量は大幅に減少し、サバ州と同等レベルになっているが、これを「持続可能なレベルに落ち着いた」と言うよりはむしろ「いよいよ資源が枯渇している」と考えている。

図1 マレーシアの地域別丸太生産量の推移(1970-2021)(出所)Ministry of Plantation Industry and Commodities. Statistics on Commodities, 2007-2022

したがって、現在、プナン平和公園内の原生林が伐採されている背景には、サラワク州林業が州内資源の枯渇に直面しており、いよいよ残された「原生林」にまで手を伸ばす必要に迫られている、と考えられる。

図2には2011~2024年のサラワク州で生産された合板の仕向先別の輸出量の推移を示した。丸太生産量が減少傾向にあるため、合板の輸出量も同じく減少しているが、その輸出先において、2024年の日本のシェアは82%と極めて高い。さらにサラワク州の全木材製品輸出収益における合板の割合は48%であり、サラワク州にとっても日本は「上客」である。

図2 サラワク州の仕向先別合板輸出量の推移(千m3)(出所)出所: STIDC (2024) Statistics of Timber and Timber Products Sarawak , 2010-2024

現在、サラワクのNGOを中心に、プナン平和公園内の原生林に由来する木材のサプライチェーン調査が予定されている。日本市場を流通する合板の原材料にその木材が含まれている可能性は高いと考えており、その結果が判明した際には、報告させていただく。■

【JATAN事務局より】

上記はJATAN NEWS No. 126(2026年1月)に掲載された記事の再掲です。なお、プナン平和公園の伐採問題については、三柴氏による記事『国際社会も支援した「プナン平和公園」が伐採の危機に』がFoE Japanニュースレター「Green Earth」Vol.97 Winter 2026でも紹介されています。こちらもぜひ、ご覧ください。