第4弾レポート『隠蔽された住宅建材 建材用合板製品が由来する森林の現場からーサラワクとタスマニア』を公刊

JATANが2016年から取り組んでいる、住宅セクターからサラワク材の排除を求めるキャンペーンで今回、新レポートに公刊に合わせて東京と大阪で住宅セクターの木材サプライチェーンに連なる65社を対象にセミナーをおこなった。レポートでは、昨年11月に実施した企業アンケートの結果によるランキング評価とならんで、サラワクと豪州タスマニアにおける日本向け合板製品の原料調達がもたらしている《環境》と《人権》の深刻な問題に焦点をあてている。

2016年、2017年、2018年に公表されたJATANとマーケット・フォー・チェンジ(Markets for Change)による三つのレポートはサラワクにおけるさまざまな問題や影響について広く概説した。われわれは日本の住宅産業のサプライチェーンに連なる各企業に情報を提供し、かれらが使用している合板製品の原料調達にともなう現場の問題に注視するよう要望し、また、調達現場の環境・社会面の悪影響を未然に防ぐための調達方針を立案・実行するようもとめてきた。

ここで銘記していただきたいことは、手に負えない未解決の問題が山積するサラワクからの木材調達を停止することを繰り返し要望しているという点である。また、「グリーンウォシュ(環境糊塗)」や劣った森林認証の利用はこのような問題の解決には不十分であることも指摘しておきたい。

タスマニアについて言えば、かつて現地のヒューオン渓谷環境センター(Huon Valley Environment Centre: HVEC)が日本の一部住宅メーカーや建材製品メーカーに対していくつかの懸念を喚起した、『偽装の陰で ― 豪州タスマニアで起こっているあらたな森林破壊 ―』では、高い保護価値をもつ森林への影響、現地市民による大規模な抗議活動、そしてサラワクの伐採会社タ・アンがおこなった市場での自社製品の虚偽報告などが取り上げられた。

今回のレポートはあらたにサラワクとタスマニアの伐採現場で起こっている問題を明らかにしている。JATAN、サラワク・ダヤック・イバン協会(SADIA)、ボブ・ブラウン財団(Bob Brown Foundation)、そしてマーケット・フォー・チェンジの前CEO(ペグ・パット)の四者による協働の所産である。

われわれは引き続き、木材供給や製品の扱いにともなう深刻な社会・環境面の問題に対処するうえで調達がどう改善されたか、日本の住宅産業サプライチェーンに関与する企業の進捗状況を評価している。われわれはそこに一部企業の漸進的な改善と少数企業の後退を認めることができた。ただし、大方の企業は依然として、自らの事業を精査に供することに及び腰である。日本の企業は全体的に、調達実績の公表、責任ある調達方針の実施に関して他の二つの消費ブロック、すなわちEUと米国とくらべて水をあけられている。このことの結果としてサラワクでは、残り少ない熱帯林が忘却の彼方に追いやられ、人々が経験する受苦はいまだ止むことがない。


『隠蔽された住宅建材』(日本語版)

2020年2月に開催した企業セミナー プレゼンデータ(PDF)
ペグ・パット(Peg Putt) (JATANコンサルティングアドバイザー)
ジェニー・ウェバー(Jenny Weber)さん (ボブ・ブラウン財団キャンペーン・マネージャー)
マテック・ゲラム(Matek Geram)さん (サラワク・ダヤック・イバン協会)

※熱帯林行動ネットワーク(JATAN)が上記セミナー等で配布させていただいたレポート(印刷物)『隠蔽された住宅建材』では三ページについて誤植等がありました。下記「正誤表」にて訂正させていただきます。ご迷惑をおかけしましたことをここにお詫び申し上げます。
正誤表