エイプリル社、天然林の皆伐停止要求を拒否

 8月1日、JATAN NEWSでも度々取り上げているインドネシア最大の紙パルプ会社のひとつであるAPRIL社の担当者が来日し、JATANとの話し合いを行った。JATANからは、(1)直ちに天然林の皆伐を停止すること、(2)消費者の要望に応えるために信頼できる森林認証制度を取得すること、(3)地域住民との問題を速やかに解決すること、の3つの要望を行った。

天然林の皆伐について

 JATANはAPRIL社に対して、天然林の皆伐はその生態系を消失させることを意味し、非木材林産物などの様々な森の恵みに依存している地域住民の生活を奪うことになるため、「天然林の皆伐を直ちに停止して伐採権地を放棄し、これまでに植林を行った現存の植林資源だけで原料をまかなえるレベルまで、紙パルプの生産量を縮小すること」を要望した。

 これに対してAPRIL社は、現在の植林木資源だけでは、仮にすべてを利用しても現在の木材需要の60%しかまかなうことができず、それでは経営が破綻するため、天然林の皆伐を止めることはできない、と回答し、天然林の皆伐停止を拒否した。

森林認証の取得について

 JATANはAPRIL社に対して、適切な森林経営によって生産されたものであることを消費者に対して示すために、FSCなどの信頼された認証を取得することを求めた。

 APRIL社は、FSCについては、1994年11月以降に天然林を転換して行われた植林については、認証の対象としないとの基準があるため、APRIL社がFSC認証を取得することは不可能であると回答した。FSCにおける植林地の認証については、1994年当時、天然林の転換を認めるかどうかを巡って大きな論議を呼び、基準を決定した時点以降のものについては、FSC認証の対象としないことを決定した経緯がある。すなわち、その頃には、すでに天然林を植林地に転換すべきでないという世界的な合意が得られていたにもかかわらず、APRIL社はそれを行ってきたとことを意味している。

 PEFCなど、FSC以外の認証制度を取得できる可能性はあるため、それに対するJATANの見解を求められたが、JATANだけでなく、世界の多くのNGOがFSCを支持している旨を伝えた。

地域住民との土地権をめぐる対立について

 具体的な事例として、昨年JATANが調査を行ったクントゥ村とシトゥガル村の状況について話を聞き、地域住民との問題については、解決に向けた努力は多少なりとも行っているとの印象を持った。しかし、植林開発によって地域住民との問題を引き起こしており、現在もまだそれが残っていると言える。

 APRIL社が皆伐を停止することはできないと回答した点、森林認証を取得できないという点については、JATANの要望とAPRIL社の回答の間で大きな隔たりがある。天然林の皆伐や植林への転換については、JATANとしては支持することはできないため、今後とも、同社の製品を取り扱っている企業に対しては、再検討するよう働きかけを続けていくつもりである。■

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