LEI森林認証を取得したAPRILはもう「大丈夫」なのか?

 今年3月、インドネシアのスマトラ島リアウ州で紙パルプ生産を行うリアウ・アンダラン・パルプ&ペーパー(RAPP)社が、その植林地においてインドネシア・エコラベル協会(LEI)による森林認証を取得したことが発表された。RAPPはAPRILグループの主要企業である。しかし、このRAPPのLEI認証取得については、多くの問題点があげられる。

インドネシア・エコラベル協会(LEI)とは?

 LEIは、1994年に天然資源の認証機関として設立された。その後、認証機関の認定機関に変わり、3機関が認証機関としてLEIに認定されている。

 認証に用いられる基準・指標は、生産機能、生態系・環境機能、社会経済・文化機能の3つの持続可能性で構成されており、それぞれ20前後の指標があげられている。認証評価の結果が「合格」した場合も、森林管理の改善を促すために5段階にランク付けをする。

 これまでに、2件の森林管理(合計約9万2,000ha)と1件のCoC(加工・流通過程の管理)を認証している。今回のRAPPの認証取得については、LEIのホームページにはまだ掲載されていないが、ニュース記事などによると、RAPPが経営権を持つ約25万haの森林のうち、約15万haの植林地が認証されたようである。

認証のプロセスから無視された地域住民

 このRAPPの認証取得に対しては、リアウ州で活動する5つのNGOが抗議の手紙を送っている。この手紙では、とりわけ、情報の提供が初期の段階において十分に行われなかったことを問題点としてあげている。今回の認証を行った認証機関ムトゥ・アグン・レスタリは、RAPPの植林地の近くで生活する住民の誰からも意見を求めることをしなかったという。RAPPが植林地をつくる際に、合計85の村が影響を受けているにもかかわらず。

 NGOのひとつであるジカラハリのアーマド・ザザリ事務局長は、「認証機関によって集められた情報には、現場の実情が反映されていないのは明らかだ」と主張する。さらに、RAPPの受けた認証のランクは「銅」(上から3番目)に過ぎないことも明らかにしている。

 また、RAPPの植林地は、天然林を皆伐してつくられたものである。天然林の植林への転換は、生態系への影響が甚大であることから、世界中で大きな問題となっている。たとえば、FSC(森林管理協議会)では、天然林の転換によってつくられた植林地を、明確に認証の対象外としている。

 今回のLEI認証の取得にあたって、RAPPのイルサン・シャリフ社長は、原料の60%近くが植林地から供給されていることを明らかにした。これは、RAPPが利用する原料の4割以上が今も天然林の皆伐によって得られたものであることを意味している。

 これまでのJATANの現地調査でも、RAPPと地域住民との軋轢がいたるところで発生していることや、天然林の皆伐が続いていることが明らかになっている。RAPPが取得したLEI認証を、APRILやその製品への「お墨付き」として考えるべきではない。

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