「タスマニア原生林(TOG)保護基金」支援活動報告(その3)

ターカイン全国連合(TNC)

マシュー・キャンベル−エリス

 「タスマニア原生林(TOG)保護基金」で支援した3つめの活動として、ターカイン全国連合(TNC)の活動について報告します。

TOG保護基金の使途

 ターカイン全国連合(以下、TNC)は、2004年のオーストラリア総選挙期間中、政治家へのロビー活動に重点を置いて活動しました。TOG保護基金からの支援金は、タスマニア北西部に位置するターカインとタスマニアのオールドグロース林および温帯雨林を保護するための、ロビー活動用資料(キット)作成の費用として使われました。

 私たちはこのキットを約200名(連邦政府の政治家や、そのアドバイザーたちを含む)に配布しました。ロビー活動用キットの内容物は以下の通りです。

基金の管理

 TOG保護基金からの支援金は、それ単独ではなく、TNCのその他の寄付金と一緒に管理され、ロビー活動のみに使用されました。つまり、ロビー活動にかかった費用の総計がTOG保護基金からの支援金の額を越えたため、TOG保護基金からの支援金が事務所の経費や人件費、法的費用等に使われることはありませんでした。

JATANの支援とロビー活動の成果

 TNCのロビー活動とその活動用キットは、2004年のオーストラリア総選挙に影響を与え、その後の「タスマニア・コミュニティ森林協定」の制定につながり、ターカインの温帯雨林保護という見事な成果を出しました。ロビー活動と活動用キットは、この優れた保護活動成果を得るうえで、極めて重要な役割を果たしたとTNCは考えています。

 ターカインとその周辺の温帯雨林は、今回、タスマニア州の制度の下で保護されることになりました。タスマニアのオールドグロース林にとっては期待された発表よりも小さかったものの、タスマニア北西部の温帯雨林のうち8万ha以上が追加保護されたことは、保護活動において素晴らしい成果です。この追加保護によって、当初のターカイン国立保護地区よりも広い範囲が保護されることになりました。これは、提案していたターカイン国立公園と世界遺産地区の約80%にあたります。

 TNCは、ロビー活動のために首都キャンベラへ何度も足を運びました。また政治家や影響力のある人々が、2004年から2005年初頭にかけてターカインを訪れた際に、案内しました。TNCは選挙活動期間中ずっと、また選挙後も継続して、政治家、アドバイザー、官僚、その他の人々に連絡を取り、情報を送り続けました。この努力の結果、自由党と労働党の、タスマニアの森林に関する選挙政策に大きな影響を与え、「タスマニア・コミュニティ森林協定」の制定という結果を出すことができたとTNCは信じています。

 選挙直前に行なわれ、全国に放送された、自由党の環境大臣と労働党の「影の環境大臣」によるテレビ討論は、ターカインをどちらの党がより保護することができるか、という内容に終始したことは注目に値します。これは、TNCが専念して行ったロビー活動と活動キットが功を奏した証拠だといえるでしょう。

 首相官邸から得た反応からは、連邦自由党がターカインの温帯雨林保護のためのTNCの努力に心を動かされ、支持をしていることがうかがえます。

 JATANからの支援と財政的な援助がなければ、TNCのロビー活動キットはこれほど専門的ではなく、また満足のいく数量を配布することができなかったでしょう。

ありがとうございました

 TNCを代表して、また、タスマニアのその他の保護活動家を代表して、あらためてJATANの支援に対しお礼を申し上げます。特にターカインの保護が拡大されたことをはじめ、タスマニアのオールドグロース林が保護されるという成果を導くことができたのは、TOG保護基金による支援のおかげです。日本からの支援と圧力なくしては、タスマニアの森林へメディアや政治家の目を向けさせることはできず、今回のような保護結果を得ることはできなかったでしょう。

 いつの日か、タスマニアの森林に関する議論が終わり、ターカインのような場所が全ての人々のために永久に保護されることが、タスマニアのすべての保護活動家やその他の人々の願いです。その日が来るまで、ターカインとタスマニアの森林のための保護活動は続けられます。

(翻訳協力:原田和子)

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