拡大するPEFC森林認証は信頼できるものなのか?

森林認証とは?

 森林認証制度とは、適切に管理された森林を認証し、そこから産出された木材にラベルを付けて流通させるもので、適切に管理された森林から生産された木材製品を消費者が選択できることを可能にするものである。

 森林認証には森林管理に関する基準と指標があり、林業としての持続可能性だけでなく、環境面や社会面についてもその基準が決められている。

 最も早く開発された森林認証制度はFSC(森林管理協議会)で、環境NGO、森林所有者、木材取引企業、先住民族団体などにより、1993年に設立された。信頼のおける制度はFSCだけであると考えているNGOは多い。

 その後、世界各地でさまざまな森林認証制度が開発されてきたが、近年になってPEFCによる相互承認が進み、認証された森林面積では最大のものとなっている。

PEFCに対する批判

 PEFCは、ヨーロッパ各国の森林認証制度を相互承認するアンブレラ組織として、ヨーロッパ14カ国の林業団体によって1999年に設立されたものである。その後、相互承認の対象をヨーロッパ以外の森林認証制度にも拡大し、名称も「汎ヨーロッパ森林認証」から「PEFC森林認証プログラム」に変更した。

 2004年10月にオーストラリアのAFSとチリCertfor、2005年3月にカナダのCSA、10月にブラジルのCerflor、12月にアメリカのSFIがそれぞれ承認され、2005年12月現在、欧州16カ国の制度と合わせて21の森林認証制度がPEFCによって相互承認されている。

 こうして、PEFCの認証を受けた森林総面積は1億7,500万haとなり、世界の認証林の約7割を占めるまでに拡大した。しかし、PEFCに対しては批判も多い。

 PEFCは、基準と認証の手続きが各国の制度により大きく異なり、一貫性を欠いているため、PEFCのラベルの付いた木材がどのような森林管理の基準を満たしたものであるかはわからない。また、大規模で持続可能でない原生林の伐採、絶滅危惧種生息地の破壊、先住民族の権利の侵害を容認しているなど、PEFCの基準は非常に低い。

 その他、私有林所有者と木材加工産業が投票権の過半数を占めており、公平かつ均衡のとれた参画がとれていないこと、不平・苦情の処理手続きを備えることを求めていないこと、認証に関する報告書の入手はほとんどの場合不可能で透明性に欠けていることなどが指摘されている。

 以上の理由から、PEFCが適切な森林管理を保証するとは言い難い。信頼できない制度の拡大が、森林保全や持続可能な利用の妨げになることが懸念される。

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