「タスマニア原生林(TOG)保護基金」支援活動報告

『フォレスト・ボイス』紙について

 JATANが昨年立ち上げた「タスマニア原生林(TOG)保護基金」では、現地の3団体の活動に対して支援を行ないました(JATAN NEWS No.60参照)。支援決定から1年が経過し、各活動の成果が報告されてきています。今回は、「フォレスト・ボイス」紙の活動について、ジェニー・ウェバーさんからの報告を紹介します。

『フォレスト・ボイス』紙第3号

 2004年9月に発行されたタスマニアの『フォレスト・ボイス』紙の第3号は、見事な成功をおさめました。他に類を見ない紙面のために、『フォレスト・ボイス』紙は必ず、タスマニアのみならず、広くオーストラリア国民にとっても明確で、詳細かつ、議論を誘発する刺激的なニュースを提供するものであると確信します。

 『フォレスト・ボイス』紙の第3号には、昨年10月に行われた連邦議会総選挙に向けたキャンペーンという明確な目的がありました。この第3号は、総選挙の一大争点と目された、タスマニアの森林問題に関わるあらゆる論点を網羅しています。タスマニアの森林問題にかかわる多くの活動家たちの立場を詳報しています。

 『フォレスト・ボイス』紙第3号は、売店、大学、学校、地域または国内の環境グループや政治団体を通して、タスマニアとオーストラリア中に1万5000部が配布されました。

 地元の配布には、私のほかに共同編集者であるアダム・バーリングが携わりました。配布先は、州都ホバートや州南部のカフェ、食料品店、情報センター、環境団体、旅行代理店、コミュニティーセンターなどです。

 タスマニア以外のオーストラリア国内にも配布しました。まず、オーストラリア中の主な環境団体のすべてに本紙を配送しました。さらに、ヴィクトリア州の州都メルボルンと、ニュー・サウス・ウェールズ州の州都シドニーで、総選挙キャンペーンの焦点であるタスマニア原生林をテーマにした多くのイベント宛に配送しました。

 素晴らしい、そして熱心な支持者のネットワークを通して、『フォレスト・ボイス』紙の第3号は、オーストラリア中のあらゆる「緑の党」の事務局、オーストラリア中の全大学に配布されました。また、タスマニアの南部を除く諸地域でも、売店やコミュニティーセンター、旅行代理店に配布しました。さらに、ネイティヴ・フォレスト・ネットワークの150人の会員、ヒューオン渓谷環境センターの150人の会員、原生自然協会の全支部に配布しました。また、キャンベラの連邦議会のすべての議員、および、タスマニア州議会のすべての議員にも配布しました。

 コニー・ハリス氏個人の寄付とタスマニア原生林(TOG)保護基金の多大な協力のおかげで、このプロジェクトは資金不足とならずにすみました。支援された資金で、印刷、郵送、配布がまかなわれ、本紙は無事に配布されました。

 『フォレスト・ボイス』紙の発行に必要な経費は、6000ドルです。『フォレスト・ボイス』紙のこれからは未定です。次号発行のための資金は、未だ調達のめどが立っていないからです。

現在の活動

 私は、現在もタスマニアの原生林のためにキャンペーンを続けています。最近の活動内容は、ウェルド渓谷の保護運動、音楽CD の作成、伐採会社ガンズが提訴した20の保護運動家・団体の支援活動の三つです。

 ウェルド渓谷は、ヒューオン渓谷環境センターがキャンペーンを展開している対象地です。ウェルド渓谷は、連邦・州両政府が最近発表したタスマニアの新規森林保護対象地からもれた地域です。ウェルド渓谷は、それ自体、世界遺産の価値をもつ地域ですが、依然として伐採が続けられています。また、ウェルド渓谷は世界自然遺産指定地域に隣接しているので、その全体としてのまとまりに傷をつけることにもなります。

 「ヒューオン渓谷環境センター」は、10分間の短編映画や大きな空中写真のポスター、2種類のステッカー、情報提供パンフレット、そして葉書などを作成しています。そして、現在当センターが取り組んでいるのは、森林保護のための樹上プラットフォームの建設とホバートにおけるアート展の準備です。詳細はwww.huon.orgに掲載されています。

 このほかに、タスマニアの森林保護のために特別に編集されたタルーネのCDの販売にも関わっています。このCDはヒューオン渓谷環境センターの活動資金調達のためのプロジェクトで、オーストラリアおよび国際的に有名な30を超えるミュージシャンの楽曲を収録しています。現在、オーストラリア国内のミュージックショップで販売中です。

 ヒューオン渓谷環境センターと『フォレスト・ボイス』紙の共同編集者アダム・バーリングは、伐採会社のガンズにより提訴されています。7月18日、この提訴はメルボルンの最高裁により却下されました。

 タスマニアの森林は現在も、木材チップ生産のための商業伐採によって脅かされています。『フォレスト・ボイス』紙は、伐採阻止キャンペーンの重要な役目を担っています。今後も資金提供が得られれば次号を発行し、オーストラリア中の読者にとって有益な、最新情報を満載した紙面を届けることができるものと思います。

 (2005年7月17日、「フォレスト・ボイス」紙活動報告より)


タスマニア原生林(TOG)保護基金会計報告

 いただいた合計45万3355円の寄付金のうち、ターカイン全国連合(TNC)とジャッキーズ低湿地地域住民の会(JMRA)にそれぞれ2,020ドル、『フォレスト・ボイス』紙に1,500ドルを送金しました。また、銀行手数料4,500円のほか、広報用印刷費や郵送費等の事務経費として6,689円を使わせていただきました。

収入の部 支出の部
一般寄付 453,355 現地団体送金 442,166
    銀行手数料 4,500
    事務経費 6,689
合計 453,355 合計 453,355

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