急速に森林が減少しているインドネシアでは、紙パルプ用の伐採が新たな脅威となっています。中でも、スマトラ島中部のリアウ州には2つの巨大な紙パルプ会社の工場があり、それらが天然林の皆伐を続けています。皆伐によって森林内のすべての樹木が伐採されるため、スマトラゾウをはじめ多様な生物が生息する豊かな生態系は完全に失われます。また、地域住民が伝統的に利用してきた森林が伐採されることもあり、いくつもの村で会社と住民との対立が起きています。
この2つの紙パルプ会社のうちのひとつ、APRIL社は、PPC(コピー)用紙などの製品を日本にも輸出しています。APRIL社の製品は、日本国内では「PaperOne」や「エイプリルコピー用紙」などとして、大手スーパーやインターネット通販などで販売されています。
![]() ゾウもちょっとニッコリ? |
イオン社は、小売店の中でも環境への取り組みには積極的な会社です。さまざまな環境・社会貢献活動を行っており、同社の環境方針の中でも「グリーン購入を推進し、環境負荷の少ないものを使用・購入するよう努めます」と明記しています。
イオン社に、熱帯林にもやさしい企業になってもらうため、JATANは2003年5月以降、現地調査報告書を送付してAPRIL社の環境や社会への影響について指摘し、APRIL社の製品の取り扱いを再検討するよう働きかけてきました。また、昨年10月からは手紙書きキャンペーンを行ない、イオン社に対してAPRIL社の製品の取り扱いについて再検討することを強く求める手紙を送るよう呼びかけ、多くの方のご協力をいただきました。
その後、今年4月頃からジャスコ店頭でPaperOneが消え始めていることが、JATANメンバーの調査によって明らかになりました。複数の支店で店員に確認したところ、「PaperOneは販売を終了した」との回答が得られました。現在では、PaperOneに替わって、再生紙製品が販売されています。
環境や社会に悪影響を与えて得られた原料から生産された製品を取扱うことは、そうした操業を支持していることになります。今回イオン社がAPRIL社の製品の取り扱いを中止する決定を下したことについては、その英断に敬意を表したいと思います。
経済がグローバルに行なわれている中、製品原料の生産現場における環境や社会への影響に配慮することは、企業が社会的責任を果たす上でも不可欠になっています。JATANでは、今後ともインドネシアの2つの紙パルプ会社の製品を扱う日本企業に対して、働きかけを続けて行きます。
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