この11月、キャノン販売と富士ゼロックスが、相次いでコピー用紙の調達基準を発表した。紙原料の生産地における環境に配慮した調達の取り組みが、活発になり始めている。
キャノン販売は10月20日、グローバルな視点からの環境問題に対応するため、新たに策定した「PPC用紙の購入基準」を同社のホームページ上で発表した。この中で同社は、これまでのリサイクル原料や森林認証の利用だけでなく、森林資源の合法性や森林の種類にも配慮する姿勢を明らかにした。
同社が新しく策定した購入基準では、下記のようにPPC用紙に使用される森林資源の要件として、@合法であること A認証林、植林地・二次林、リサイクル原料より選択すること、の2つを掲げた。日本が紙原料を輸入している多くの国で問題となっている、原生林等の保護価値の高い森林を除外するとは明記されていないものの、「植林・二次林を選択」するということは、原生林を排除するものと考えられる。
[ 原則1 ] PPC用紙に使用される森林資源は次の要件を満たさなければならない。 ● 合法であること。
[ 原則2 ] PPC用紙商品は次の要件を満たさなければならない。 ● 少なくとも1つの環境配慮事項を含むこと。 (キャノン社ホームページより抜粋) |
一方、富士ゼロックスも、11月30日に「環境・健康・安全に配慮した用紙調達」規程を制定したことを発表した。同社のホームページに掲載された記事には、「森林伐採による資源の枯渇や生態系・先住民の生活への重大な影響などへの配慮を進めるため、すべての富士ゼロックス関連会社が販売するコピー用紙の調達について、基準を制定した」と記載されている。
この基準では、富士ゼロックスおよび関連各社が仕入れる用紙に関して、法律や規制が遵守されていることや持続可能な森林管理がなされていることなど、6つの原則を定めている。同社は今後、この基準に沿うよう取引停止などを含め調達の調整をすすめ、2006年度からの完全な適合を目指すとしている。
【 調達基準の原則 】 1) 法律や規制が遵守されていること (富士ゼロックス社ホームページより抜粋) |
JATAN NEWS No.56で紹介したとおり、2003年6月にはリコーが「紙製品に関する規定」を策定し、「保護価値の高い森林」の保護の方針を打ち出している。保護価値の高い森林については明記していないものの、今回2社がコピー用紙の調達基準を策定したことで、産業界の中で木材や紙原料の生産地における森林環境に配慮した取り組みがまた大きく前進したことになる。また、こうした取り組みを進める会社と行わない会社に分かれ始めたとも言える。
一般消費者は、このような生産地の森林環境に配慮した取り組みを進める会社を支援することによって、世界の森林問題の改善に貢献することができる。■
※両社の調達基準について詳しくは、それぞれのホームページをご覧下さい。
キャノン販売 http://cweb.canon.jp/supply/standard/
富士ゼロックス http://www.fujixerox.co.jp/release/2004/1130_supply_regulation.html
ニュースレター記事一覧 | 違法材・原生林材不使用キャンペーン | ホームページ
© 2004 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)