今年2月、欧州で活動するNGO、FERN[i]が発表した最新の重要報告書によると、持続可能な森林経営を実現するための手段である森林認証制度の信頼性が危機に瀕している。
これは、従来どおりの林業施業を継続することが、ほとんどの認証制度において許されているためである。
この「森林の足跡:森林認証の現在の実施状況と将来の課題(Footprints in the forest:Current practice and future challenges in forest certification[ii] )」では、現在実施されている8つの認証制度が比較され、大半の制度が林産業における従来型の施業を容認していることが明らかとなった。
報告書は、「森林管理協議会(FSC)」が現行で唯一信用できる制度である、という結論を出している。
FERNの事務局長であるサスキア・オジンガ氏は、JATAN等のインタビューに対して、「アメリカのSFI(持続可能な林業イニシアティブ)が最も悪い。最低限の基準しかなく、どの会社でも満たすことができるくらい、とても低い基準である。自主的な基準であり、それが何であるかわからない。SFI以外は加工・流通過程の管理の認証(CoC)を持っているが、SFIにはない。AFS(オーストラリア林業基準)の基準もとても低い。第三者監査もあるし、CoCは良いものを持っているが、最低限の基準である」と述べている。
また、オジンガ氏は「これらの制度がその手続方法と施業状態を改善し、厳しくしなければ、認証制度は森林管理を改善する上で、ほとんど成果をあげることはできないであろう。森は危機に瀕している。認証制度はこれまで、あらゆる問題の解決策として提供されてきた。現実には、消費者の信用に値するのは、FSCラベルだけである。一方で、他の大半の制度は、従来通りの施行を続けることを容認している。この現状は、認証制度全体の価値をおとしめている。これは、問題が解決されることを望む政策立案者が取り組むべき課題である」と述べている。
さらに、報告書では、以下の点についても述べられている。
報告書で調査されているのは、カナダ規格協会(CSA)と、森林管理協議会(FSC)、汎ヨーロッパ森林認証(PEFC)、持続可能な林業イニシアティブ(SFI)、オーストラリア林業基準 (AFS)、ブラジル森林認証システム(CERFLOR)、チリの森林認証(Certfor)、マレーシア木材認証協議会(MTCC)の8つの制度である。Footprints in the Forestは、FERNの2001年の報告書Behind the Logoの情報を更新し、拡張したものである。Behind the Logoでは、当時、施行されていた4大認証制度が比較されている。
[i] FERNは、ヨーロッパ連合の政策と施行において、森の保全と持続可能な森林利用、そして森に暮らす人々の権利を尊重することを推進している。
[ii] 報告書と事例研究の全貌は、FERNのホームページwww.fern.orgで入手できる。
(2004年2月24日FERNプレスリリースおよびJATANおよびインタビューより、JATANにて編集)
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