アメリカ木材企業の最大手、ボイジ・カスケード社は9月3日、世界中の保護価値の高い森林*区域やアメリカ国内のオールド・グロス林の保護において、非常に大きな前進となる環境宣言を発表した。Rainforest Action Network (RAN)は、この方針を、産業のための持続可能な森林管理に大きく貢献するものとして評価している。
この発表によってボイジ社は、その操業面において包括的な環境宣言を採択したアメリカ国内初の大手木材会社となり、仕入先にまで環境方針を広げた初の木材・紙製品を扱う販売業者となった。この宣言は環境対策の面で先頭に立つ企業としての高い意識を反映しており、Rainforest Action Networkや American Lands Alliance、National Forest Protection Allianceなどの保護団体からの意見を受けて作成されたものである。
宣言には、ボイジ社の環境対策における公約の主要な部分について記載されており、同社が保護価値の高い森林区域からの木材購入を停止するために、環境保護団体と共同して活動することや、可能な限り認証され適切に管理された森林からの木材を供給する仕入先から優先して購入することを明記している。また、ボイジ社の丸太やパルプ材、チップの購入が、違法伐採を防止する取組みを支援することにつながることを保証することも記載されている。
RANのマイケル・ブルン事務局長は、「アメリカでは、世界に残る保護価値の高い森林を守るために取り組みを行う企業の数は増えているが、我々は、そこにボイジ社が加わったことを祝福したい。ボイジ社のリーダーシップは、次世代までこうした地域を守るための重要な促進剤となるだろう」と語っている。
ボイジ社は以前、すべての保護価値の高い森林からの木材の取扱いを停止する要望を拒否したために、顧客を失った可能性がある。たとえば、ここ2年間で同社との取引を停止した企業や大学の数は、キンコーズ社をはじめ、20ほどにもなると保護団体は推測している。「製品ブランドがオールド・グロス林の破壊に結びついていると、生き残っていけないことを知っているのだと思います」と、RANのジェニファー・クリルは語っている。
近年、キンコーズ社は保護価値の高い森林からの紙製品を取り扱わない方針を取っているが、ボイジ社の操業実態はそれと合わず、これが昨年取引を他社に変更した理由の一つであると、キンコーズ社の職員は認めている。もうひとつの大きな顧客であるロウズ社は、2000年に策定した、保護価値の高い森林からの木材の取扱いを段階的に停止する方針を遵守するため、ボイジ社に対してRANとの合意に向けて話し合うよう要望したと言う。
RANは、ホームセンター最大手のホームデポ社に対して、保護価値の高い森林から生産された製品を取り扱わない方針を求め、同社が1999年にそれを策定した直後、ボイジ社に対して働きかけを始めた。その他多くの小売店は、次々に同様の方針を発表した。マイケル・ブルン氏は、「この件は市場で決着が着いたと考えていると、ボイジ社には伝えました」と述べている。
しかし、ボイジ社が話し合いを拒否すると、RANの活動家は36メートルの高さの恐竜の形をした気球をボイジ社本社の上空に飛ばすなど、同社にプレッシャーをかけるキャンペーンを次々に展開した。
その後、保護団体は、ボイジ社の顧客に対して同社との取引を停止するよう働きかけ始めた。ボイジ社は、こうした働きかけによって取引を停止した顧客はこれまでなかったとしているが、ロウズ社はボイジ社に対して、保護団体と話し合って要望をいくつか聞くよう働きかけた。結局、ボイジ社は環境保護団体と何回か話し合いを行い、9月3日に合同記者発表をすることになった。
(2003年9月3日のRainforest Action Networkプレスリリース、Wall Street Journalより、JATANにて編集)
* 原文はendangered forestsで、直訳すると「絶滅に瀕した森林」だが、わかりにくいため、意訳して「保護価値の高い森林」と記載した。■
ニュースレター記事一覧 | 違法材・原生林材不使用キャンペーン | ホームページ
© 1999-2003 熱帯林行動ネットワーク(JATAN)