リコーが紙製品に関する原生林等の保護規定を制定

 株式会社リコーは6月20日、「リコー及びリコーファミリーブランド紙製品に関する規定」を制定し、同日よりその運用を開始したと発表した。対象となる紙製品については、「PPC用紙、感熱紙など、並びに、取り扱い説明書・包装材・緩衝材などのリコー及びリコーファミリーブランド製品に付随するもので木材を原料とするもの」としている。

 同社のニュースリリースによると、リコーグループが販売する紙製品やリコー製品に同梱するマニュアル類・包装材の原料の仕入先に対しても、リコーに供給される製品、および、仕入先の企業活動のいずれにおいても、リコーが定義する「保護価値の高い森林」(オールドグロス林、原生林、もしくは絶滅危惧種の生物が生息する自然林など)の保護をお願いするとしている。

 今後は、初めて取引する仕入先については、制定した基準に合致している場合のみ取引を開始する。また、すでに取引のある仕入先についても、リコーグループの要求する項目を満たしていない場合は、一定期間内に今回制定した基準に合致するよう改善を求めた後、改善が見られない場合にはそれ以降の取引を停止することを明記している。

 世界的に持続可能な森林経営という目標が掲げられているものの、それが達成されたと考えられる森林は、世界の中でもほんの一部に過ぎない。日本が紙や紙原料を輸入しているオーストラリア、インドネシア、チリ、カナダなどでも、原生林をはじめとした貴重な生態系の破壊が進んでいる。こうした状況から欧米では、原生林(オールドグロス林)から産出された木材の使用停止に取り組む企業が増えており、事務や製品カタログなどで紙を利用している電機業界も、こうした取り組みに積極的である。

 日本国内ではこれまで、2001年にグリーン購入法が制定されたことによって事務に用いられる紙においては再生紙の利用が進み、官公庁はもちろん、民間企業でも特に大手においてはほぼ定着しているものと思われる。しかし、古紙以外の木材から作られるパルプについて、原生林やオールドグロス林などの保護を明記した仕入れ基準を制定したのは、日本では恐らくリコー社が初めてであり、画期的な取組みと言える。リコー社以外にも、植林木や認証材を利用した製品の取り扱いといった別の視点での取り組みを行っている企業もあり、こうした動きが今後も日本国内に広がっていくよう、JATANとしても働きかけていきたい。

※リコー社の紙製品に関する規定について詳しくは、同社のニュースリリースまで。

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